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N. 1015
マリアと共にいのちを生み出す共同体
愛する姉妹の皆様
新しい総評議会の最初の全体会議中に皆様のもとに参ります。この会議では、さまざまな議題を協議しますが、中でも2021年から2027年の6年間のプログラムを作成するという重要な課題があります。ですから、もう一度、主が私たちの仕事を照らしてくださり、第24回総会の指針に沿って、会の成長を助ける選択をすることができますよう、皆様のお祈りをお願いいたします。
その間、主がわたしたちに与えてくださる時間を最大限に活用し、シノドスに招集された教会の大きな視野の中で、私たちと教育共同体にとって良い機会となるように、本会創立150周年記念の年を祝う旅を共に続けて参りましょう。
わたしたちは皆、第24回総会がわたしたちに託した内容と課題を認識しています。ですから、わたしたちは、聖霊と、この複雑で、なお、希望の未来に開かれた「今日」の若者の現実に素直に耳を傾けながら、恵みの時を生きているのです。
カナのイコンは、マリアが召し使いたちに言われた言葉をわたしたちの人生に響かせる総会後の歩みにも、引き続き同伴します。「この人が何か言いつけたら、そのとおりにしてください」(ヨハネ2,5)。
現代世界にいのちを生み出す生きた 「presenza」であるということを自覚し、「信じる者」の幸い(会憲44条参照)を生きることができるよう、わたしたしを聖母にお委ねしましょう。
いのちを生み出すカリスマ
第24回総会議事録には、特にわたしたちの生活、わたしたちに託された使命、そして全世界で苦しみの挑戦を受けている所で、いのちを生み出す共同体であるようにとの招きが明らかに現れています。教育共同体として、わたしたちは、神の呼びかけを見分け、パンデミックの経験を異なる視点から考察し、会の未来のための新たな機会として見るようにします。
いのちを生み出す力は、現代的で豊かな実りをもたらすテーマです。実際、私たちは、さまざまなレベルで再生が非常に必要とされる特別な時代に生きていることを実感しています。私たちは、深遠な刷新、変化、出エジプトを必要とする道に直面しています。これは、前例のない新たな教育的、養成的な可能性を切り開くことを求めています。私たちは歴史に生き、賢明さと愛を持って現在を生き、わたしたちに提供されるすべての機会を最大限に活用するよう求められているのです。また、本会もいのちを生み出す力の必要性を痛切に感じています。新たな召命の新鮮さと家族的な雰囲気を醸し出す前向きな対人関係、無条件の信頼、教会とわたしたちの会、そしてサレジオ家族のために召命が成熟する場である共同体の必要性です。そして、そこからわたしたちの教育環境も実りあるものとして再生していくのです。
生み出す力は、わたしたちの歴史の起源です。それは、
扶助者聖マリアが、長い時間をかけて会を望み、生み出し、
導き、創立から150年経った今もなお、会を生み続けておられるからです。サレジオのカリスマは豊穣的で、当初から創造性と活力を表現してきました。ドン・ボスコとマードレ・マザレロは、その召命の初めから、そして、かれらの全存在を通じて、聖マリアの配慮する業によって導かれてきました。二人は若者を自分たちのプロジェクトに参加させ、若者と共に、教会と社会における宣教共同体のあり方を独自に作り上げました。
私たちは、かれらの共感的で魅力的な聖性に再び影響を及ぼし、本会の召命の実りの本来の新鮮さを再び呼び起こすことができる生み出す力の強い共同体となるようにしましょう。
命を生み出す人は、一人ひとりが持つ資源を、隠されているものまでも強化し、その価値を評価します。
共同体は、私たちが互いに同伴し、また、青少年が自分の召命を気づくよう同伴し、自分の人生における神の計画を発見し、かれらが自分自身の最善を尽くしてそれに応えるよう同伴することを学ぶ最高の場です。共同体の中で、一人ひとりの限界や弱さにもかかわらず、わたしたちは交わりを生き、忠実に支え合って生きていくことを学びます(会憲49条参照)。神から呼ばれたことを感謝しているわたしたちは、本会の召命に関して責任を感じています。(会憲73条参照)
わたしたちのための神のみ旨を共同体の中に発見し、合わせて兄弟のうちに、また社会的状況と教会、毎日の現状
のうちにそのしるしを見て、それを快く受け入れます。
(会憲30条参照)
数年前の国際総長連盟(UISG)の会合で、教皇フランシスコは問いかけられました。
「奉献生活の母胎が不妊になってしまったとは、一体どういうことでしょうか」と。
今日のコンテキストでは、奉献生活は福音的・カリスマ的な再生が求められています。
だからこそ、私たち自身の実体験から始めて、希望と信頼のまなざしで現在の課題に向き合い、イエスへの情熱と教育への熱意を再び目覚めさせることが、最初にして最も決定的な努めなのです。
第24回総会では、個人として、また、共同体として、現代社会の中に「存在する」ことの重要性を強調しました。ドン・ボスコとマードレ・マザレロと比較して、私たちは、周囲にいのちと希望を生み出しながら、二人が「presenza」の預言を完全に生き抜いたことに焦点を当てました。これを手に入れるには、少数の人々の善意だけでは不十分で、より強い決意を持って養成に特化していくことが不可欠です。この養成は、召命的反応の堅実さ、唯一の花婿であるキリストへの喜びの忠誠だけではなく、会の生活の質、教育使命の実りをも左右するものと確信しています。
意味のある存在となるために
マリアのように、また、マリアの助けを借りて、いのちを生み出すものであるためには、 わたしたち一人ひとりが、また、共同体として、神が本当に私たちの心、 私たちの選択、私たちの全生活と使命の中心におられるかどうかを確認 することが重要だと思います。今日の深刻な課題と青少年教育の新たな必要性を求められている私たちは、精神的な世俗主義と活動主義のリスクを克服するために、新たな熱意を込めてイエスに眼差しを向け、内面性を培う必要性を感じています。そして、神が生活、共同体、使命の中心におられるとき、私たちの存在は光と喜びを放つことができるようになります。
神がマードレ・マザレロのうちに住んでおられ、また絶えず神の中に生きていましたから、ただ「そこにいる」だけで、神を現すことができた女性でした。ここに、マードレ・マザレロとFMAの最初の共同体が生きた使命の教育的実りの秘訣を見つけることができます。神が人生の中心にいないとき、わたしたちの言葉も仕事も中味のないものになる恐れがあります。若者の間で意味のある存在とするカリスマ的な情熱は、「ダ・ミー・アニマス」の神秘的で「チェテラ・トッレ」の修徳的な面にその根源を見出しています。
どちらか一方が欠けても、わたしたちは生きていけないのです。
ドン・ボスコにとって、教育への情熱は燃え上がる炎であり、それゆえに若者をキリストに導くよう助けます。聖フランシスコ・サレジオについて、わたしたちの創立者は自らの人生を使命の遂行に向け、神の愛を自ら個人的に体験し、そこから若者を愛し、救うための力を汲み取り、「チェテラ・トッレ」という代価を支払うことを受け入れています。
主イエスとの眩しいほどの出会いがなければ、使命の実りさえありません。
わたしたちは皆、心の中に、いのちを生み出す人でありたいという望みを持っていることを確信します。そして、このプロセスを実現するためには、ドン・ボスコが1886年5月24日にわたしたちに宛てて書かれた手紙が役に立つでしょう。そこには、FMAの真の姿を、「本会には次のような修道女が必要です。」(『会憲・会則』追録参照)と、明確に父親の愛をもって記してあります。
ドン・ボスコは、第24回総会が思い起こしたように、「召命」共同体となるための必須条件である福音に深く根差した道を、描いています。「教育共同体のメンバーとして、わたしたちは、若者が自分の人生のプロジェクトを発見し、発展させることができるよう、召命文化を培うよう求められています。そのために、日々サレジオ霊性を生きる教育的環境を作り上げていき、秘跡の生活・神のことばの傾聴・祈り・識別・個人的-共同体的同伴・分かち合いや一緒に立案する喜びを大切にします」(第24回総会議事録12番)。
教育共同体と共有されるこの責任は、わたしたちにとって、カリスマの預言的な活力への忠実さの表現であり、それは、神の呼びかけの美しさと変容する力を日々共に体験する青少年、また、信徒と分かち合う召命文化の重要な前提となっているのです。
この責任ある忠実さは、わたしたちに若者を同伴するように促し、わたしたちの共同体を教会と神がわたしたちに働くよう求めておられる様々な状況において、真にいのちを生み出すものにすることができるようになるでしょう。
もし、聖霊が、司祭職や修道生活への召命を自分に気づかせようとし続けているという確信から出発するなら、わたしたちは、主のみ名で「新たに網を打つ」ことができます。わたしたちは、若者一人ひとりに対し、その道を歩む可能性について、自分の胸に尋ねてみるよう伝える勇気を出してよいのですし、出すべきなのです。(『キリストは生きている』 no. 274参照)。
終わりのご挨拶の前に、創立150周年にあたる今年、副総長のスオル・マリア・デル・ロザリオ・ガルシア・リバスがすでに皆様にお知らせしているように、世界共同体感謝の日は、わたしたちの「聖地」であるトリノ、モルネーゼ、ニッツァで行われますので、特別な意味があることをお伝えしたいと思います。これらの場所はそれぞれ、わたしたちの会の初期の歴史と今日におけるマリアの存在を思い起こさせてくれます。
このため、この行事を主催するピエモンテ管区「マリア・アウジリアトゥリチェ」は、第24回総会に合わせ、祝日の準備と実現の道のりのテーマと指針として、「マリアの現存」を提案することにしています。
「大らかな心で」(手紙 47:12)前進するという志で、聖性の歩みを再開する時として、四旬節を生きていただければと思っております。扶助者聖マリアが、皆様を祝福し、支えて下さいますように。
わたしと総評議員の姉妹の皆様の心からのご挨拶をお送りします。
ローマ 2022年2月24日
皆様を愛するマードレ